2011年3月28日月曜日

ホーチミンでミサ

きのうは日曜日だったので教会に行ってみた。
敬虔ではないので拝まれるほうは迷惑かもしれないが拝むことに抵抗はない。



初めてホーチミンに来た時、観光地ど真ん中の大聖堂に入って、ほっとしてしまったのは、ひとえに、「見たことある」というやつだと思う。

キリスト教が広まったのは植民地時代のあとなんでしょうか。
異国への布教活動の原動力が何だったのか、詳しく考えると難しそうだけど、少なくとも植民している人々の、異境の淋しさみたいなものは教会で紛れたはず。

広めるほうと受け入れるほうの力関係の結果なのか、とにかくカトリックは今でも南ベトナムに根付いているらしい。





昨日入ったのは、宿の近くのTân Địnhとかいう地区の教会。
外壁がピンクだけれど、他に比べて、かなりクラシックで大人しい形。







建物の内部は、扇風機が回って、通気性も良い。

他に大画面モニターと、内陣というのか祭壇の上の方にネオンが光っているのが、なんとなく人々の興味関心を反映しているのかもしれない。

なんにせよ、盛況というのか、参列者は多くて、ミサの時間は教会をぐるりと駐輪バイクが取り巻いている。





キリスト教について知らないけど、お説教する人と参列する信者がいて、時々パイプオルガンと一緒に合唱したりしながら進行する雰囲気は、ベトナムでもベルギーでもあまり違わない。

当然だけどベトナム語で、中丸明みたいに言えばベトナム語はみゃあみゃあ言う言葉なので、ちぐはぐしているのが面白い。



2011年3月27日日曜日

ベトナム行きJALでノルウェイ

初めて乗ったJALの、ホーチミン行きの飛行機で、『ノルウェイの森』を見てしまった。
思わず見入ってしまう映像だと思ったら、この前見た『夏至』と同じ監督だった。
『夏至』の時はストーリーがあってないような映画だったからぼんやりと見ていたけれど、分からないなりに監督それぞれの持ち味というのはあるんだろうと納得した。

Trần Anh Hùng監督は、ローマ字のヘンな記号を見ても分かるとおり、ベトナム人で、ベトナム行きの道中で見るなんて、というのをただの偶然と見るか伏線と見るか、後者の方が楽しい。

wikipediaによれば監督は青年期以降はフランスにいたみたいだし、個人と国とは別問題だけど、ベトナム映画が熱くなってくれたら面白い。

『ノルウェイ』の主役の、サンバを踊らない方のマツケンにのめり込んでいる女友達がいて、グーグルで見たら眠そうな顔した人だなくらいにしか思っていなかったけど、ぐっと来た。
劇中の人となりも、脳裏からはなれない。
予告編のセリフにある、「ややこしい場所に運び込」まれた感じがたまらん。
他にも、「直子」の「初めて」のところがもう大変に気に入って、とか思ってたら女優・菊地凛子も普段の写真は全然違うので、二人の見事な役者っぷりにびっくりする。
付け加えると監督自身もかなり男前です。

村上春樹は前も書いたけど早稲田の文学部では建築でいうところの安藤忠雄で、おおっぴらに崇拝すると笑われるけど読んでないともっと笑われる。
恥ずかしながら文庫が分厚いから読んでない。
「原作を読まずに映画を見るなんて」とも思うけど、映画を見て原作を読みたくなるのもいい出会いだと思いたい。
ハマりやすい方だけど熱中すると消耗する性格でもあるから、思いとどまる努力をする。


そんなわけでまたホーチミンに来てしまった。


映画『ノルウェイの森』HP



2011年3月3日木曜日

初代macbookproのHDD"感想"

古いけどまだ使ってますよ、というだけの事を、世界にむけてアピールしよう、という記事。
HDDを替えようと思った人の参考になるものではない。
なので、作業の参考にしたリンクは下に載せました。


僕の使っているパソコンは、よく知らないけどIntelのCPUが最初にmacに導入されたころのもの。
卒業論文を書くのに、なんとなく自分のパソコンが欲しくて買ってみた。
よく考えれば、携帯電話でも論文は書けたかもしれない。


で、初代macbookproというらしいけれど、この機種は売り出してまもなく、次の機種に代替わりしたようである。
多分、Intel積んで、売り出してみて色々改善点が見つかったんじゃないか。

ともあれ、それで「型落ち」になってたのを少し安く買いました。
いわば試作品だから、貧乏くじとも言えるけれど、5年近く不便なく使っているので不満はない。
最近また新しいのが出たし、もう何世代経ったのか分からない。


そんなわけで古いんだけど、HDDが元々の80GBで、メモリを一枚、足したきり、お金をかけずに使ってきた。
使い始めてしばらくしたらHDDの容量が足りなくなった。
外付けに移したりして、ごまかしていたのだけれど、やっぱり足りなくなった。
仕事中に聞く落語とか、そういう消せないものばかりになって、限界を悟ったので、出費を決意した。

OSも10.4のままだし、付属アプリケーションも最近のものは便利そうである。
でも本体を新しく買い替えるお金はない。

メモリとHDDを買ってごまかすことにした。
他に部品もあわせて、全部で1万円しない。
これであと5年使えれば、すごい。
HDDを交換するのは難儀だそうだけど、前にファンを掃除した要領とたぶん同じだろう。


ちなみに、ご存知の通りアップルのパソコンは、トルクスドライバーなる専用の工具が必要で、基本的に開けてほしくない構造らしい。

まだ部品交換で使えるとしたら、買い替えさせるのは「エコ」じゃないけど、例えばそれである会社の新製品が売れなくて失業者が出るとなれば、どっちが果たして人類によくない事なのかわからない。


前にメモリを買ったのは本体と同時で、その当時たしか1万円くらいした。
今や、同じランクが2千円にまで下がっている。

こういうのはナントカの法則で説明できるという。
説明できるかもしれないけれど僕のお財布が納得できるかどうかは検証されていない。
文明の進化に犠牲はつきものであるが、昔の出費より、いま安くなっているという事実の方がありがたいと思うのは不思議。
こういうのもナントカの法則で説明ができるはず。


買ったのは、日立の500GBの2.5inchの5400回転と、Transcendの1GBのメモリ。
自分で書いてて良く分からないが、そういうものだそうだ。
ハードディスクは、SATAでつなげて大きさが2.5inchで厚さが9.5mm、という基準が分かったけれど、メモリの方は最後まで選び方が良く分からないまま買った。
SODIMMというのとDDR2の200pinというのがキモらしいが。
同じメーカーでどうも同じ形式らしいけど値段が違ったり、奥が深い。
無事に刺さって良かった。

HDDの中身は、CCCを使ったので、換装後もいままで通りの環境でスムーズに使えている。
そう書くとますます分からない。

今回の作業は、HDD付け替え、ファンの分解、メモリ追加で、二時間弱。
カバーのネジを外し忘れたまま無理に開けようとして、危うく本体を破壊するところだった。

ねじまわしが使えてパソコンに思いやりがあれば、作業自体は特に難しい話ではないし、予備知識もいらない。
なんとなく文明の利器の内側をのぞくのは楽しい。



HDDだけ取り出してみると、とにかく小さい。
ポケットティッシュより少し大きいくらい。
この中に、論文から音楽やら映画やら昨日のおかずまで全て入っていると思うと、まったく不思議である。



そんなわけで、交換作業でお世話になったウェブサイト。

冷却ファンの掃除http://isi.kicks-ass.net:8080/isi/bakilog-2.0/macbook-pro-fan/view
HDDと光学ディスクドライブhttp://ascii.jp/elem/000/000/352/352409/

2011年3月2日水曜日

「10宅論」

世の「建築家」にはそれぞれ、デザインのモチーフのようなものがあって、安藤忠雄なら打放しコンクリートだし、黒川紀章なら三角錐だろうし、妹島和世ならのっぺりした白い空間、ということに落ち着くんじゃないかと思う。
素人目には、使い回しじゃないかと思うんだけれど、おそらく、建築家の人たちは意図的に、この「またかよ」を楽しんでいるはず。



それで、この本は、隈研吾という建築家の人が書いている。
隈研吾は、シマシマが好きな人だと言って間違いない。
設計する建物は一様にシマシマがついている。

このシマシマを、同級生は「隈印」と呼んでいた。
その同級生によれば、「所員ががんばって設計した建物に、隈印(シマシマ)をつけただけじゃん」ということだけれど、今になって思うには、所員が働くのは当たり前で、ボスの努力はもっと孤独なものであると想像する。

それはまあとにかく、材木とかなんかそういう長細いものを、良く分からないけれど綺麗にばらばらに並べているのが「隈印」だろうと思っている。
勿論、風が吹いて飛んだりはしないと思う。


本の中身は、題名通り、住宅の本である。
住宅の住まい方を通じて、各年齢層の人々の暮らしぶりや嗜好までが観察されている。

おおざっぱに言って、建築家の文章の胡散臭さは、勢いと説得力にあるんじゃないか。
「本当にそうかなあ」と考えるいとまを与えない。
疑うひまがないので、あとから、本当だっただろうかと思う。

この本も、前書きから、思想史の偉人たちの業績をバランス良く散りばめて、しかも分かりやすく簡潔に書かれている。
興味をそそるし、しかも流れるように展開して行く。
だまされやすい性格なので、テンポ良く飲み込まれることを警戒した。

安藤忠雄とヴィトンはなぜすごいか、クラブのママと理想の妻の関係、とんかつ屋でなくてデニーズに入ってしまうのはなぜか、独身貴族が高価な椅子に憧れる理由、そんなあたりが、なんとなく分かる。

文章も面白いし、ところどころにある図面と表が笑える。


マンガみたいだと思うけれど、建築家が書いたために、あとに続く人たちは、仕事の手間が増えて頭を抱えているんじゃないかと思う。
門外漢としては、もっともらしくうなづきながら、笑って楽しめばいい、ということにしている。