2009年6月28日日曜日

「まぼろしの郊外」

有名な本らしいです。
援助交際の本です。

近代的「国家」を作る過程で必要であった、「良妻賢母」という建前によって成り立っている「ウソ社会」と、
小学校の先生から国家の役職の人々までをお客にとる女子中高生の援助交際の現実とのギャップを、
「ウソ社会」による性の規制が強化されるにつれて、浸透して見えにくくなっている実際の援助交際の形式を辿ることで、あぶり出して行きます。

トピックは援助交際ですが、
「ムラ社会」に、ある日突然、課せられた近代化という使命とそれに伴う「ウソ社会」という建前、その使命が役目を終えた今、建前と現実とのギャップに若年層がどう順応して行ったら良いか、
また、大人たちはどう若者を導きうるのか、
という命題に対して、
「道徳」や「倫理」ではなく、「自己決定権」をキーワードにひとつの道筋を示してくれます。

社会の不条理に悶々としていた少年の頃に読んだら、
すっきり迷いなくその後の人生を歩んだか、
ますます不条理に頭を抱えたか、
さてどっちだったのだろう。

自分より先にあったものを、どう扱うか、は、処世術の大きなテーマだと思うのですが、
清濁をそのままストックとして受け入れて、その上でうまいことやろうよと、
「父親殺しの都市計画」を糾弾した大野先生は、やっぱりすごいなあと尊敬してしまう昨今。


2 件のコメント:

えび さんのコメント...

父親殺しって、エディプスコンプレックスが関わってくるってこと?
大野先生っていうのはフロイトやってる人なのかな?

toyobe1984 さんのコメント...

思うんだけどさ、独文って、ずいぶん面白いことやってたんだよね。
戻りたいとしばしば思う。

大野先生は、大野秀敏先生で、建築の先生だけど、どうかなあフロイトは・・・知ってたりして。