2008年10月30日木曜日

パイプオルガン・コンサート

備忘録として、書いておきます。


ブリュッセルには国際オルガン週間なるものがあるそうです。
http://home.scarlet.be/semorgweek

毎年なのか、数年に一度なのか。
おそらくはこじんまりした企画なのだと思います。
2008年は、10月19日から26日まで。
一週間、毎夜ブリュッセル市内の教会を転々と演奏会が巡回する催しです。

近所にも来たので、聞きに行ってきました。
日常的なところがいいです。
おじさんおばさんがぞろぞろと教会に入って来て、少し得して帰って行く。
会場はこのようなところ。
http://www.brusselspictures.com/2008/01/14/eglise-saint-servais/


演目は、M.Reger, J.S.Bach, K.Szymanowski, T.A.Nowak
演奏者は、Tomasz Adam NOWAK

今、気づきましたが、演目の最後の曲は自作自演だったのですね。
お洒落な曲でした。


入り口上部、祭壇から見て最後列にパイプオルガンが設置されています。
教会自体は石造で天井も高く、よく響くのですが、どうも、オルガンの響きが教会に満ち満ちて、という具合にはいきませんでした。
設置場所が悪いのか。

それでもやはり迫力はたいしたものです。
空気そのものが直接震えるからでしょうか。
オルガンの音の野太い響きは、和太鼓に近い何か本能的な感動があると思う。

運河遊覧


設計デザインスタジオが、こちらの留学生活のメインです。
そのスタジオの一環で、運河ツアーがありました。

ブリュッセル中心部の西側に、南北に運河が走っています。
北はアントワープを通って、海まで通じています。
南は知りません。googleによれば、モンスという街までは通じているようです。
今年のスタジオ課題のテーマは、この運河を軸にブリュッセルの街を再編しようと言うもの。
運河を知らずして運河を制せず。学校で一隻チャーターするという、学生には高くつく豪華ツアーでした。

地形の都合で、南に行くほど水面の標高が上がります。
水位を調整するために、ブリュッセル市内にも2カ所の水門があります。








水門アップ。
この露骨な力強さがいい。








水門を閉じて、水をためて船を持ち上げます。









「建築的に」何を見たのか、よく分からないのだけど、単純に船に乗るのは楽しいです。
水に船が浮かんでるだけで、妙に感動する。
水門が開閉したり水位が上下したりするのは、冒険心をくすぐるアトラクションだと思います。
とりたてて風光明媚な場所があるわけではないのですが、普段との視点の違いが、わくわくさせるんじゃないか。
給油中。
乗船しているお客さんを意にも介さず、というのがベルギー流かもしれない。
良い具合に年を重ねた表情と、舟とタンクローリーと燃料という組み合わせが。





日本橋川で定期的に舟を走らせたらさぞ楽しかろうと思う。

2008年10月24日金曜日

study_visit リエージュ

今回のStudy Visitは、リエージュに行ってきました。バスで2時間くらい。
快速電車だと1時間くらいで着くようです。
リエージュの地形は起伏が大きい。にぎやかな商店街の広がっていてい散歩には最適です。写真は、商店街のハロウィンの飾り。隣には魔女もいましたが、おばけの口の魅力におされてこちらの写真を採用。
とりたてて私事ですが、いつも、なんで文学から都市デザインに専攻を変えたの、と聞かれて困ります。
今回の見学会の最大の収穫は、何か明確な理由があるより、理由を考えつづけていられる方が、長続きするよ、ということを発見したことだと思う。学友に教わったのですが。
実は個人的には、大して違うことをやっているつもりはないです。のらりくらりと学生をしています。

今回訪ねた建築は二つ。
♪ 構造設計事務所 greisch
フランスのミヨー橋やカラトラバとの作品などを手がける事務所。
ミヨー橋とリエージュの駅の説明をしていただきました。
写真は、中庭の様子。二階レベルをつなぐデッキがどうも積み木みたいで不安なのですが、明るくて心地良さそうです。
学友曰く、設計事務所はオープンな方が所員同士のコミュニケーションが上手く行くのだそうです。然り。



全面ガラス張りで奥が森。こちらの気候ならではの開放感。鉄骨造の軽さもいいと思う。









♪ お昼ご飯のカフェで飲んだエスプレッソ。
財布のひもが誘惑に負けたが、至福の一時。こちらは概して外食の価格が高い。
昼食に1,500円は日本では考えられないが、こちらでは平均値。







♪ リエージュ駅
カラトラバのデザインによるもの。実施設計は上で見た事務所です。
ヨーロッパでは、エンジニアとデザイナーがいて、デザイナーは意匠、エンジニアは構造と分担しているそうです。お互いの信頼関係で作品が成り立って行く。
カラトラバのデザインは莫大なコストがかかるそうですが、それを差し引いても実現させてしまうデザインの魅力なのでしょうか。
駅の背後は丘、教会らしきドームが見えます。


エントランスは地面より下がったところにあります。
建設中の見学というのが、プレミア感がありませんか。








建設中の建物は、得てして暗く狭く見えるものだけど、大コンコースというには少し圧迫感があるように思いました。
写真奥は、インフォだか切符売り場だか、主要な機能が収まります。







ガラスブロックで日光を下の階に届かせようというのが基本コンセプトの一つ。
ただ、上を人が歩くと、ガラスと砂がこすれてとても嫌な音がします。
白いコンクリートとガラスブロックが、視覚的にはとても美しい。






ガラスブロックを下から見上げる。









プラットフォームの様子。ドイツ新幹線ICEがかっこいい。
「模型みたい」。「絵みたい」というのは美術史学では禁止。








屋根の様子
とって喰われそうな形をしている。夜景はどのようなものでしょう。








空を短冊切りにする。









鯨の背骨のようなイメージ。ガウディを意識しているんじゃない?というのも別の学友の言葉。生き物みたいな印象は、近いと思う。









土木構造物の迫力。街並みに似合う似合わない、という議論は、このサイズになるともう超越してしまうよね、という話を学友としておりました。
駅広場の完成後にもう一度来なければ。数年後でしょうか。








――study visit 学校の見学会――
第一回 study_visit Tour & Taxi
第二回 study_visit ゲント訪問 
第三回 study_visit リエージュ
第四回 study_visit マーストリヒト
第五回 アントワープ

2008年10月21日火曜日

LeffeとWestmalle

Leffe

オーソドックスなバランス。飲みやすい。
清涼飲料みたいな感覚で飲めます。
時々、この煮え切らない味に腹が立つビール。
静かな午後のお供には最適です。





Westmalle

コーラみたいな色ですが、ベースはベルギーの甘ったるいビールの味。
濃厚な豚骨ラーメンのような位置付けです。
アルコール度7%

2008年10月20日月曜日

TOURTELとCINEY

ベルギーはビールの種類がたくさんあります。
ドイツや日本と違って、ビールを名乗るための条件が緩いためだと聞きます。
ひと月でずいぶん色々な味を試したように思いますが、少しずつ、書き記して行きたいと思います。

TOURTEL
恐怖のアルコール0.4%ビール
まさかこの国でその手の飲料に出くわすとは。
寝酒を求めて買ったものの、失敗した。
やたら甘い。
Premium Blond Bierと何喰わぬ顔でビールであることを主張するところがなお憎い。



CINEY
黒と白があります。
白は、例のベルギービールの味。まったりと甘い。アサヒビールとは正反対。
黒は、Leffeに近い味がします。口当たりが軽い割に輪郭がはっきりしていて飲みやすい。

楽器との再会

当然だけど、ピアノを弾く人は、自分の楽器を持ち歩くことがない。
勿論例外はあるが、少なくとも素人では、ない。

身一つでブリュッセルに来て、そんなわけで、一ヶ月以上ピアノを弾かなかった。
探してはいたのだけど学生の本分が邪魔をしていて、史上最長記録を作ってしまった。
遂に、ピアノを習いたいという女の子がいる一家に巡り会った。訪れたら、ちゃんとピアノがあった。
一般にピアノと言っても、「スタインウェイ」から「鍵盤ハーモニカ」まで人によって定義は様々なので、あるよ、と言われても実際に弾くまで予断を許さない。
アップライトの中でも、小型なもので、僕も自分の部屋があったら置いておきたいサイズ。部屋が広かったので、ピアノはより小振りに見えたのだけれども。

その子は、ピアノを習ったことがないそうだけど、好きで自分で弾いていたのだそうで、飲み込みも早く、30分で一曲譜読みをこなすことができた。

ピアノを弾くことは、学芸員や、噺家の仕事に近いと思っている。
その曲の美しさを、どう伝えるか。伝える側は、心底から作品に惚れ込むこと。
音が間違っているとか、技術が足りないとかではなく、どう弾いたら聞いた人に楽しんでもらえるか、そうやって僕は教わった。それは素人にはとてもありがたいことです。

教わったものを教えようなどと大それたことはできないけど、願わくばその子が、少しでもピアノを好きになり、音楽を楽しめるように、背中を押せたらと思う。

レッスンが楽しみでしょうがない。

2008年10月17日金曜日

パリ5 パリの街あれこれ


パリその5 パリの街あれこれ

♪ モンマルトルのミサ
旅行に行くと、夜は疲れ果てて寝ているので、朝が早いです。
今回の旅行は、モンマルトルの中腹にありましたので、散歩がてら向かいました。

観光地なので、大層な量のゴミです。
丁度、清掃員の方が大勢で働いていらっしゃった。
ただ、至る所に公共のゴミ箱があるんです。
ドイツの清掃局の、気の利いたポスターに、「私にとっては小さな一歩だが…」とゴミ箱に歩み寄る写真があったのを思い出します。

日曜だったので、朝のミサをのぞきました。
石造りの教会なのでもともと音響はいいはずですが、最近はどこもスピーカーを使うんですね。

聞き取りやすいのだけど、神々しさがそこなわれるような気がします。
宗教の面白みは底の知れない深さにあると思う。
と言いつつ、建築が、一方で透明や軽さを求めるとしたら、BOSEかSONYあたりが教会を作る日も近い、などと考えます。

♪ オルセー美術館
パリに来たら美術館に行かなければと、最終日は美術館巡りを計画。結局、この日行ったのはオルセーだけでしたが、「目の正月」をさせてもらいました。
ちょうど、日本人好みの年代の絵画が集まった美術館だと思います。
そこかしこから日本語が聞こえる。
今回はまったのはマネの作品。黒が、映えます。



♪ ポンピドゥセンター
夜景です。

昼間からぶらぶらしてました。
前に来た時は、たしかホーミーをやっているモンゴルの人がいて、圧倒の歌唱力だったのですが、今回は冴えないおじさんがチャンバラをするという、何とも物足りない大道芸でした。





そういえば、後ろ側はこうなっているのでした。
この建物が京浜工業地帯にあったら当たり前なわけで、この地区にあるから楽しいのだよね、と後日、学友に聞いて、あらためて納得。
元祖工事中建築。










♪ Porte du Jour
因縁の地下鉄の駅です。前、確か本で見たことがあります。
レベル差を円弧を描いたガラスでつないでいます。
プールやらスタバやらが入っています。塩素をかぎながらエスプレッソを飲むなんて、という立地が。

ポンピドゥ近くを彷徨っていたら、偶然出くわしました。ポンピドゥも確かそうだったと思いますが、こちらも、地区再開発の起爆剤の意味合いが多いのではないかと。
ただいまフランス語の解説を解読中です。



新宿的、地下空間。
大都市の臭いを感じます。








♪ 夜景
パリの夜は明るいです。雲の状態によっては、東京のように空が赤くなったりするのだろうか。
暖色系に統一された照明が良いのでしょうか。空気の質の違いでしょうか。







月が、いい具合な場所に出てきました。
夜も観光客が多い。









――その他の記事――
□パリ旅行
□パリその1 ダニ・カラヴァン
□パリその2 ラ・ヴィレット公園
□パリその3 シトロエン公園
□パリその4 建築たち十人十色
□パリその5 パリの街のあれこれ

2008年10月14日火曜日

パリ4 建築十人十色

パリその4 建築十人十色

僕の今の所属は建築の学校ですので、建築にも興味を持とうと思い・・・折角なので、駆け足で、色々見ました。
詳しい人の解説を求めます。

♪ アメリカンセンター Frank Owen Gehry (現シネマテーク・フランセーズ)
名前が変わっててびっくりしましたが、外観が疑いようもなかったのですぐ見つかりました。
巨匠スケッチから、建築に至るまでの過程が気になる。










お金がなかったのと、時間が遅かったので、映画館内部には入れず。
写真は、フォアイエの天窓です。ゲーリーの造形がいい具合にはみ出して来ています。
個人的には、DVDを大量に陳列した売店に関心が集まりました。







♪ アラブ世界研究所 Jean Nouvel
こちらも、無料のところのみ入りました。
建物はコの地型の配置、屋上が展望台として解放されていて、カフェもあります。セーヌ川やらモンマルトルやらノートルダムやら、パリの北西を一望できます。







エントランスが、妙に狭いです。建物の北側は広場になっていて、そこから入ります。なぜ入り口を狭く絞ったのか。












件の、面構え。日射の量に応じて開閉する機会がずらっと並んでいますが、写真で分かるように、ちゃんと動いているのは3分の1くらい。メンテナンスが大変なんでしょうね。








接写。かっこいい。ただただ、かっこいい。
ただ壊れやすい。









エレベーターのシャフトを挟んで見た階段室。こちらも、ハイカラ。パリの建築は足場を外さないのが好みなのか。こちらもまるで工事中、そそられませんか。
上の写真の、遮光マシーンから漏れ出た光が、美しい。







♪ エヴリー教会 Mario Botta
小田さんのうちにあった写真集を思い出して、行ってきました。










絵葉書の構図を真似て撮りましたが、いまいちぱりっとしません。
どの角度から撮るのがいいのか。

写真をもとに、面白さを想像してください。






椅子。










建物の切れ目。これが内部空間とどうつながっているかは、確認できずじまい。

この聖堂のおすすめは、併設された美術館です。
聖杯などの古典的な道具からエキゾチックな現代美術まで楽しめます。
現代美術の方もテーマはキリスト教だと思うのですが、作品の質はかなりいいと思う。
いいかどうか分からんが少なくとも僕は好きです。
展示室は気の利いた音楽が流れていて、人も少ないので優雅です。

♪ 国立図書館(新旧) 新:Dominique Perrault
パリのフランス国立図書館。高層ビルが長方形の中庭を囲んで四つ建っています。
夕日に映えると近未来的光景。手前の橋も、面白い動線になっています。

大番狂わせなコンペがあったことで有名なんだそうです。
入れるところまで入って、書庫の様子も少し覗けました。垂涎の研究空間。




中庭。
室内から見るといいです。









京都駅の大階段と同じくらい気に入った都市空間。
中庭を数段の段差が囲んでいて、その外側が木製デッキの広場。段差に座る人大勢。四本のビルのスケールの大きさにも関わらず、圧迫感がない。







旧国立図書館
上の図書館に移転したためか、改装中。ここで研究に打ち込んでいた学生や学者の姿を思い描きつつ、パリの文化の底の深さを実感。








手すりや扉の造形と影が美しい。









――その他の記事――
□パリ旅行
□パリその1 ダニ・カラヴァン
□パリその2 ラ・ヴィレット公園
□パリその3 シトロエン公園
□パリその4 建築たち十人十色
□パリその5 パリの街のあれこれ

パリ3 シトロエン公園など



♪ シトロエン公園
パトリックベルジュという、建築家がいたそうです。
この人は、廃線跡のリノベーションで手腕を発揮した人で、そのつながりでこの公園を知りました。

http://web.parknet.co.jp/uemoto/citroen.htm
公園の詳しい経緯はこのホームページに書いてあります。僕の感想もだいたい、この文章と同じ。
ラヴィレット公園に敵意はないです。あれはあれで良いと思う。
ただ、こちらのシトロエン公園の方が、居心地が良い。着慣れた普段着と言った印象です。
シトロエンの工場跡だったそうです。ブラウンフィールド再生だと思うのですが、それらしい煙突などは残されていません。きれいに緑化されて、さっぱりしています。
公園は大きく、三つに分かれています。丁度、ミッキーの顔を四角くした配置です。大きな中心部と、そこから耳のように別れた小さな四角が二つ。それらが斜めの軸線で結ばれています。
高低差を上手く活かした動線です。段差によって、適度な空間のまとまりと、いろいろな視点が楽しめます。

公園内には、温室らしきガラス建築が点在しています。
温室は、写真では朝日の角度の加減で目立って見えますが、上品にまとまっています。
こちらは日曜日の朝に訪れましたので、ジョギングをする大人たちが行き交っていました。
ラジオ体操らしきものに取り組む集団も。あとカモ少々と気球。
中心に100m×300mの芝生があります。




♪ 廃線跡の再生 Bastille Viaduct
配線された鉄道高架橋を改修するというロマンのかたまりみたいな計画です。
敷地が線形なので、ただ行ったり来たりするしかないようです。それが惜しい。
横浜の汽車道よりは新橋のガード下に近いイメージ。
ここの計画でベルジュが活躍したんだそうです。




道路との交差点の鉄橋を見上げる。
迫力ありますねえ。
そういえば、東横線の桜木町までの高架橋はどうなったのでしょう。








動線は大きく上と下に別れています。上は線路のあった方で、現在は高遠になっています。この写真は、路線跡の公園の方。
街の中にいるのを忘れます。
ただ、ひたすら一直線なので、ときどきある橋がアクセントになっている他は、特に驚くものはないので観光には不向き。
穏やかな日常の雰囲気がよい。





下はオシャレなお店が軒を連ねています。
橋脚が落ち着いたレンガのせいか、お店のデザインもしっとりとしていて、そぞろ歩きに丁度よいと思います。
訪れたのが平日の午前中というのが残念だったが、お店の様子から察するにおそらく人出は多いものと思う。









こちらに詳しいことが書いてあります。
http://www.mediawars.ne.jp/~tanimura/a_map/form/france/bastille_viaduct.html

――その他の記事――
□パリ旅行
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□パリその2 ラ・ヴィレット公園
□パリその3 シトロエン公園
□パリその4 建築たち十人十色
□パリその5 パリの街のあれこれ