2008年11月26日水曜日

ウィーン1 内田光子


内田光子の演奏会が、ウィーンの主眼でした。
Konzerthausとローマ字で書いてみると、字面だけでも美しい。
由緒のあるホールらしいです。思い違いでなければ、イェリネクの映画版でここのロビーが使われていたはず。

一番後ろの壁に接して座っていたので偉そうなことは言えないのですが、響くとはこういうことなんだろうと思います。余韻は決して余りではない。
演奏会の雰囲気も華やかで良いものです。着飾る人もたくさんいました。日本の音大留学生らしき人々が、衆人を寄せ付けない美人度で闊歩していたのも面白い。演奏家は俳優業だと思う。

今回は、指揮者不在の演奏会です。
一曲目がストラヴィンスキーの弦楽合奏。
コンマスが息を合わせるべく大層がんばっていましたが、どうも全体にうるさいばかりで、これだけの人数でぞくっとするような間の取り方は体現しがたいもののようです。
もっとも、僕がこの曲を知らないせいも多分にあると思う。

続いて、モーツァルトの協奏曲が2曲。僕の好きな23番と、大きな室内楽のような24番。
協奏曲でソリストが指揮をしながら演奏することを、弾き振りというそうです。弾き振りは、ソリストがどう弾きたいかがホール全体に伝わるように思います。前奏の指揮だけで、しびれる。
これは、不倫に例えられると思った。
統率の取れない不良集団に突如現れた、底知れない魅力の女性、という組み合わせ。指揮者がそれぞれの本来の夫だろうと思う。
道ならぬものは燃え上がるのではないかしら。

モーツァルトはロマン派以上に過激でした。音のつやっぽさ、柔らかさ、深み。
きっと、作曲家自身も気に入るだろうなという演奏。
内田光子は蝶のようでした。

――ウィーンの記事――
□ウィーン  Eurolinesにて
□ウィーン1 内田光子の演奏会
□ウィーン2 ローエングリン
□ウィーン3 フンデルトヴァッサー
□ウィーン4 高射砲塔


Wiener Konzerthaus
内田光子
Chamber Orchestra of Europe

Chamber Orchestra of Europe / Uchida
Samstag, 15. November 2008, 19:30 - ca. 21:30 Uhr
Großer Saal
Interpreten
Chamber Orchestra of Europe, Orchester
Mitsuko Uchida, Klavier, Leitung
Alexander Janiczek, Konzertmeister, Leitung
Programm
Igor Strawinski
Apollon musagète / Ballet en deux Tableaux (1927-1928)
Wolfgang Amadeus Mozart
Konzert für Klavier und Orchester A-Dur K 488 (1786)
***
Konzert für Klavier und Orchester c-moll K 491 (1786)

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